触れた誰かの声に淡々と 身を委ねてしまいそうになる




股が、というか子宮口が、いや、子宮口なのかどうかわからないけれども、自分以外の女性器の中に指を突っ込んだ事が無いから他の人がどうなのかはわかんないんだけども、とにかく奥。奥。奥だよね、奥なのかわかんないけど中が、下?下?下の方なの?かゆい。めっちゃかゆい。かゆすぎて痛くなってきた。


多分カンジダなんだけどさー……かゆすぎて泣きそう。おしっこする時も痛いし拭く時かゆすぎてゴシゴシしちゃうし、ゴシゴシし過ぎて痛くなっちゃうし。病院行くべきだよなあ(;_;)泣けてきた(;_;)カンジダじゃなくて性病だったらホントに嫌なんだけど……マジでクソ………。



自分が何に悩んでるかとかはっきりコレとは言えないんだけど、今日お母さんと外でごはんを食べて、何気ない話から何気なく家族の話になって、あの時こうだったけど結局こうなってよかったな、みたいな話になって。


お母さんは仕事たくさんして、疲れてるのに家のこともやって、それなのにお父さんはそれが当たり前のように、その上家賃や光熱費は払っていてもその他の生活費は一切お母さんに渡さないと。それがお母さんにとっては苦痛で、毎日仕事が終わって家に帰る度に憂鬱になってたと言ってた。お兄ちゃんは毎晩お酒飲んできて、酒癖が悪いからお酒を飲む度に俺なんか生まれてこなきゃ良かったと思ってんだろ、とかそんなことを言いながらめちゃくちゃに絡んでた。わたしも相当絡まれてたし相当喧嘩した。取っ組み合いもした。そういうのも全部引っ括めて我慢の限界だったと。イライラしてそれをわたしや妹に当たってしまうそんな自分も嫌だったと言っていた。


でも今は一人になってイライラすることも無くなったし、お兄ちゃんが離婚したことは俺のせいでもあったのかなと言ってくれたと、それが嬉しかったとお母さんは言っていた。お兄ちゃん、裏では悪口ばっかりだったけど、本当はそう思ってたんだなと思った。正直お母さんにだけいい顔して、とその時は思っちゃったんだけど、お母さんに言った事の方が本心だったら嬉しいなといま考えるとそう思う。


離婚して迷惑とかかけちゃったけど、結局はこうなってよかったのかなと思うこともあると言っていた。でも一番可哀想なのは妹だよねって言った。親が離婚するってなって、家庭事情を知ってる人たちから百万回ぐらい聞いた。一番可哀想なのは妹ちゃんだよねって耳が腐るぐらい聞いた。わたしもそう思う。勿論そう思う。まだ高校生なのにって。卒業するまで待ってあげられなかったのって思う。でもさ、わたしは?そう言われるたびにわたしは、わたしは?ってずっと思ってきたんだよね。妹が一番可哀想、そうかもそれないけど、わたしは可哀想じゃないのって?もう大人だからいいのって?大人だからこそわたしだって辛かったよ。他人から言われるのはいくらでも我慢できた。だってわたしだってそう思ってたし、みんなそう言うのは当たり前だって思ってた。でもお母さんの口から聞くのは我慢できなかった。わたしだって子どもだよまだ。なんにもわからないよ。大人になるってどういうことなのか、正しいってどういうことなのかわからないよ。泣くつもりなかったんだけど、全然そんな話じゃなかったんだけど、我慢できなくなって残り三口ぐらいのサラダをぐちゃぐちゃにしながら泣いた。泣きながらわたしも可哀想だったよ、って言ってしまった。お母さんを責めるみたいな言い方をしてしまったのをめちゃくちゃ後悔してる。


そうだよね、ごめんね、萌も辛かったよねって言われた。でもいまこうやって甘えてくれて、昔の甘えん坊な萌に戻ったようでお母さんは嬉しいよって言った。もう大人だから、わたしはお姉ちゃんだから、我慢してきたつもりだった。今だってほんとは我慢したい。大人だし、わたしより辛い人なんていっぱいいるし、わたしより頑張ってる人なんてクソほどいるし、ホントにマジでみんな頑張ってて偉いと思ってるし。でもちゃんとしなきゃちゃんとしなきゃって思ってもちゃんとできなかった。ちゃんとできない自分が嫌で大嫌いで本当に嫌で死んでしまえばいいと思ってた。


全然悪くないよって、迷惑だなんて思ってないよって誰も悪くないよって言った。

誰も悪くないよ。でもわたしはもう子どもには戻れないぐらい汚れちゃったんだよ、なんかずっと引っかかる。なんかがずっと引っかかってた。気にしてなかったし、気にしていないつもりだったけど、わたしはさ、わたしはさ。わたしは、自分で選択してきたことだからこんなふうに落ち込んだり苦しむのも間違っているんだろうけどさ、やっぱりかなりダメージを負ってたんだろうなと、思った。


その時はなんとも思わなくても、ずっと残り続ける。元彼にこんな仕事って言ったら、でもこんな仕事でもこんな仕事してなかったら俺たち出会えなかったよって言ってた。そうじゃなくてわたしは、こんな仕事じゃなくてもっと違う所できみと出会えてたら何か違ってたんじゃないのかなって思ったんだ。違う所で出会っていても好きになったよ、って言って欲しかったんだ。こんな仕事に辿り着かない未来をわたしは望んでたんだ。なんか馬鹿みたいだけど。好き好んでやっていたわけだけど。売春で承認欲求を満たそうとするなんて馬鹿げてる。醜すぎる、でもわたしにはそういう生き方しかできなかった。


わたしがあの時渡したお金、の出処なんて口が裂けても言えないけど、ああ、死にたい。ごめんなさい。どうやったらいいんだろう。どうやって無かったことに、すれば、無かったことにはできないでしょ。どうやってそれを背負っていけばいいんだろう。誰に許されればいいんだろう。


それは罪ではないよ、と言われてもわたしには大きな罪に思える。すごく汚いことだと思う。こんな仕事、ということはこんな仕事を職にしている人たち全員に失礼だと思うけれど、わたしはやっぱりそれでもこんな仕事と思う。見下すに値する仕事だと思う。いくら綺麗な交友関係を築いたって、いくら彼氏とプラトニックな関係を築いたって、何したって、わたしが一度真っ黒に汚れた事実は絶対に消えないし、一度してしまったら塗り替えられないし、わたしがまた元に戻らない保証なんてどこにもない。


わたしはお母さんのこともお父さんのこともお兄ちゃんのことも妹のこともすきだった。認めて欲しかった。えらいなって言ってほしかった。ちゃんとやってるよって言われたかった。それだけだった。それだけだったのに、それだけだったのに、なんでこうなっちゃったんだろう。なんで間違えちゃったんだろう。全部間違えちゃったからもう戻れないからもうダメだ、お金、お金、文章書けない。苦しい。ずっと心臓ギュッて掴まれてるみたいな感じだ。うわあ、苦しい。どうしてこうなんだろう。自分を責めるなと言われたって責めるよ責めちゃうよ自分が自分を苦しめてるんだから自分のこと責めるよ、それでまた苦しめてるんだけどそうする他ないんだよ。どうしようもない。